スタッフより
杉並区のW様の所有するビルの屋上にひびが多数入っているとの連絡を受け
ました。聞けば、数年前に防水改修工事を行っていたとのこと。改修工事
は押さえコンクリート下地に密着工法でFRP防水を施していたのですが、
3年ほどたつと、既存の押さえコンクリート伸縮目地に相当する部分から
新設防水層にひび割れが発生したのだそうです。押さえコンクリートの伸縮
目地は、気温の寒暖などにより伸縮します。そのような部分に防水材を
密着させた場合、下地の伸縮により防水材には引張と圧縮の繰り返し
疲労が発生します。特に目地の伸縮幅が大きい場合では、経年により防水層が
破断することもあります。改修工事にて既存の押さえコンクリート上に
FRP防水を施す場合には、伸縮目地部の挙動に十分注意し、目地部の納まりを
計画することが重要です。伸縮目地部分は目地の構造あるいは外的要因により
複雑な動きをすることが良そうされるため、FRP防水材のメーカーの支持に従う
ことが重要です。また現況により複合工法を検討することも必要です。
伸縮目地部分に対応した施工方法としては、
「伸縮目地部に極力幅の人広い緩衝層(緩衝テープ、ウレタン塗膜防水など)
を設ける」方法と、「緩衝層部にFRPにより補強張りを施す」方法があります。