渋谷区で住宅性能向上と雨漏り

先日渋谷区のI様の屋根点検をしました。実はI様のお宅の屋根は何度か雨漏りを
起こしていて、それを大変気にされているようです。その時に質問されたことがあります。
それは、住宅の性能は上がっているのに、雨漏りはいつまでたっても改善しないのかということでした。本当に言われた通りで、雨漏りは昔からの屋根の主たる
不具合なのですが、それがいつまで経っても改善されないどころか、
住宅保証機構の保証事故件数は、2002年以降から急激に増加しているのです。
これは2000年の住宅品質確保促進法の施行以降に、瑕疵担保保険の加入物件が
急激に増えたことによります。それに伴い、事故の件数も増加しています。
ただ、事故率自体は大きく変化していないようです。
近年の部位別保証事故件数を調べると雨漏りに関する保証事故の割合が極めて高いことが分かります。
「屋根・防水」が13.7％、「壁・防水」が65.3％と、両者を合わせると保証事故のほぼ8割を占めています。そしてまた、保証事故1件当たりの支払い金額は、
年々増加傾向にあります。高気密住宅の増加したことが大きな原因の一つだと考えられています。
高気密住宅とは、高断熱高気密住宅のことで、壁・床・天井などに断熱材を使って高い断熱性・気密性を実現した住まいのことです。「暑さ、寒さのストレスから解放されて、いつも快適に過ごしたい」という、理想の住まいを実現するということで、最近人気が高まっています。
しかし、近年、その増加傾向にある高気密住宅では、浸入した雨水が長期にわたって壁体内にとどまり、被害状況が室内側に現れにくいため、発見が遅れ、被害が拡大する傾向にあるのです。住宅の高気密化は雨漏りの発見が遅れるリスクになっております。
住宅が高性能に進化すればするほど、その代償は何かしらあるということです。
大きな問題になる前に防衛するには、定期的なメンテナンス以外にはないと思います。

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