スタッフより
杉並区のW様は、アメリカやヨーロッパ駐在していたので、
日本の家と欧米の家の違いについて詳しいです。先日W様の屋根点検をした際に
以前住んでおられたドイツでの家屋についての話を伺いました。
ドイツでは、築150年のものも珍しくなく、屋根もちゃんと機能しているそうです。
長期耐久性という観点から日本の屋根を考えると、国際的には遅れていると認めざるを得ない状況です。確かに日本の戸建て住宅の省エネ・設備機器は、欧米と
比べれば優れています。しかし、屋根構法ではヨーロッパが格段の優位性を持っています。それは瓦・スレート・金属など、ほぼすべての屋根材で通気構法の採用が規制化されているからです。しかも、屋根材を緊結する釘からのわずかな浸水を防ぎ、通気層によって湿気を排出し、野地板の腐朽・劣化を防ぐ高耐久
構法が一般的なのです。すでに住宅の長寿命化を実現しているヨーロッパの優れた技術を取り入れていくことは今後有効だと思います。
もちろん、日本はヨーロッパに比べれば雨量が多いので、ヨーロッパの技術をそのまま取り入れてもうまくいくとは限りません。
屋根の形・勾配・向きと、雨水侵入による木材の腐朽、通気・換気・小屋裏環境との関係について十分な検証が必要になります。
ヨーロッパの屋根の材工コストは、日本よりも格段に高いです。日本が住宅の長
寿命化を進めていくなら、これまで重視されていた初期コストよりも
「ライフサイクルコスト(LCC)」の視点から考えなければならないでしょう。
100年といった長期で、屋根の維持・管理・葺き替えを考慮したLCCでみると、
長い目で見れば、ヨーロッパの構法の方が安価なことがわかります。
なぜなら、ヨーロッパは初期のコストがかかっても家を代々受け継ぐことが
できるからです。日本で世代ごとに建て替えという無駄が無いのです。
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