スタッフより
昨日の続きになります。
次に雨漏りを疑ったのは、1階の漏水箇所の真上に位置するサイディングの入隅部です。
一見入隅部のシーリング材に亀裂は見つかりませんでしたが、肉眼で確認できなくても
小さな隙間があれば雨漏りにつながる可能性はあります。軒ゼロ住宅では、外壁や
開口部の雨掛かり範囲に広がるので、小さな隙間でも軽視できません。
実際、散水試験を開始して約2時間後、1階のユニットバスの点検口で
雨漏りを確認できました。散水から雨漏りまで2時間もかかってしまったのは、
バルコニーの床下に現場吹付の発泡ウレタン断熱材を施工していたからです。
断熱材が雨水の進行を妨げたため、雨漏りが顕在化するまで時間がかかったと
思われます。
サイディング材を取り外すと、バルコニーの外壁の入隅部から浸入した雨水は、
どのようなルートをたどって1階で雨漏りを生じさせた原因が判明しました。
その原因とは透湿防水シートと水切りの納め方が間違っていたのです。本来、水切りは透湿防水シートの内側に取り付けるべきなのに、外側に付けていました。しかも、シートの下端を折り曲げていたので、水が溜まりやすくなっていたのです。
この状況から、以下のようなメカニズムで雨漏りが生じたことが分かります。
まず、外壁のサイディング材の入隅部から浸水します。水切りの裏面を
通過して透湿防水シートの下端部に溜まりました。
そこからオーバーフローした雨水が 室内側に侵入し、1階の玄関先や
ユニットバスの点検口などで雨漏りを引き起こしたのです。
さらに掃き出し窓が入隅部と密着していた点も原因の一つでしょう。
サッシ側面と入隅との間に十分な余裕がなく、サッシまわりのブチルテープを
貼りにくい構造になっていました。サイディングを突破した雨水はサッシ上部で
滞留し、サッシの左右側面から流下し、入隅部から侵入した雨水と合流したのでしょう。
明日に続きます。
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