スタッフより
昨日の続きになります。
2つ目の施工上の問題点のもう一つは、シーリング材の厚さ不足です。
日本窯業外装材教会の標準施工書には、シーリング材の目地深さを5mm以上確保するように記してあります。
ところがこの現場では明らかにその規定に達していない箇所が多数見つかりました。
シーリング材のほかにも雨漏りの致命的な要因となったのが、透湿防水シートの施工不良です。
サッシの周辺を見ると、透湿防水シートの長さが足らず、隙間がありている部分がありました。
おそらく、シートを加工する際に誤って切りすぎたのではないでしょうか。
このような乱雑な施工では、雨漏りがおこるのも当然だと思いました。1次防水面のシーリング材から侵入した雨水は、2次防水面の透湿防水シートも楽々と突破してしまったのです。
調査を進めるなかで、もうひとつの別の雨水浸入ルートが見つかりました。
それはサッシの縦枠と下枠の接合部です。
サッシの下枠の内部は、空洞になっている製品が多いです。空洞にたまった水は、正面の排水口から排出されます。ところがこの現場では、下枠と縦枠の接合部に隙間が生じており、空洞部にたまった水がそこから室内側に流れてしまったのです。
この部分から漏水を疑ったのは理由があります。サッシ枠のわずかな歪みが
生じていたからです。サッシ搬入時に他の物体にぶつけたかあるいは組み立て時のトルクが不足していたのかもしれません。
縦枠と下枠の接合部は、シール材を貼って圧着する処理が多いです。施工時に枠がゆがんでいると、うまく圧着できなくなってしまいます。
これまでサッシ枠の接合部から浸入した雨漏り事例を何度も見てきました。
工事監督は、サッシ枠の接合部に隙間が生じていないかよく確認する必要があります。
そのうえで、接合部からの浸水があった場合に備えサッシを取り付ける前に窓台に防水シートなどを捨て張りする対策をお勧めします。こうしておけば雨水浸入があっても安心です。
この住宅の補修工事は、かなり大がかりになりました。一部の透湿防水シートを張り変えたうえで、シーリング材を大半を打ち替えました。窓には 、カバー工法で新しいサッシを内側から取り付けました。これらの工事でようやく雨漏りは収まりました。
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