一般には知られていないのですが、雨漏りに関する現行制度がありますので、
いくつかご紹介したいと思います。
住宅品確法
2000年4月より「住宅の品質確保の保進等に関する法律」(以下、住宅品確法)
が施行されました。これによって、住宅の品質確保を図るための住宅
性能表示制度が新設され、性能評価の基準が設定されました。
雨水の侵入を防止する部分としては、屋根、外壁、開口部が制度の対象と
なっています。この制度による住宅表示は、10項目の物差しで住宅の性能を
測っており、雨漏りに関係あるものとしては「劣化の軽減」があります。
この項目は通気構法をなどを採用することにより、評価等級を上げることが
可能なのです。通気構法は、雨水の侵入を防止する効果だけではなく、
構造部材などの劣化を軽減し、その結果構造の安定性を確保することが期待できます。
2010年度においては、おっこ建ての設計住宅性能評価の交付割合は23.6%、約
4分の1の住宅が本制度を利用していました。次回は、住宅性能表示制度を適用
した場合のメリットをご紹介します。
住宅表示適用のメリット
1. 10項目の共通のものさしで住宅の性能が判り、住宅の相互比較が可能になる。
2. 共通の基準であるため、事業者との間での解釈の違いを防げる。
3. 建築基準法の検査に加えて、住宅性能評価機関の評価員による各種の検査
が受けられるので、欠陥住宅の発生を未然に防ぐことが可能になる。
4. 設計住宅性能評価書またはその写しを契約書に添付すると、設計評価された
性能を実現することが契約内容とみなされる。
5. 第三者機関となる指定住宅性能評価機関が評価方法基準に基づいて住宅の性能を
評価し、設計住宅性能評価書を交付し、さらに依頼により施工段階で検査を
実施して図面通り施工されているかを確認し、建設住宅性能評価書の交付を
受けることができる。
6. 建設住宅性能評価書が交付された住宅において、引き渡し後にトラブルが
発生した場合、住宅紛争処理機関による調停や仲裁を安価で受けることができる。
7. 建設住宅性能評価を受けると耐震等級によって地震保険料が割引される。
8. 民間金融機関の住宅ローンの優遇を受けられる。
9. 建設住宅性能評価と「住宅瑕疵担保責任保険」の同時申し込みにとり、同保険
が割引される。
10. 資産価値の維持が期待される。
日本建築学会
2007年より日本建築学会の建築工事標準仕様JASS「左官工事」が改訂、雨水
侵入防止の関連では、モルタル外壁に単層下地通気構法と二層下地通気構法
の具体的な仕様が追加されました。
住宅金融支援機構
住宅金融支援機構では、雨漏りを未然に防ぐ対策として、2008年新たに
防水工事分科会を立ち上げています。これによって、同機構による木造住宅工事
仕様書には、左官工事の使用に通気構法が採用されたり、外壁や屋根、バルコニー
などに対しての具体的な防水仕様が示されるなど、数多くの防水に関する内容が
改訂されました。例えば、「壁体内通気を採用しない場合は、軒の出およびけらばの出
を60cm以上とするか、または30cm以上で外壁に雨水侵入を防止する有効な仕上げを施す
べき」などが小屋組の項目に示されています。
瑕疵担保履行法
2009年10月より「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(以下、瑕疵
担保履行法)」が本格的に施行されました。瑕疵担保履行法の申し込み住宅に関する
技術的な基準を定めた設計施工基準屋根、バルコニー、外壁、湿式および乾式
外壁の仕上げに関して、最も基本的な雨水侵入防止策が示されています。
木造住宅の雨水侵入に関する項目の例は以下のものが記載されています。
第2章 木造住宅
第2節 雨水の侵入防止
第7条 屋根の防水
第8条 バルコニー及び陸屋根の防水
第9条 外壁の防水
第10条 乾式の外壁仕上げ
第11条 湿式の外壁仕上げ
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