スタッフより
渋谷区のJ様から、ベランダの手摺部から漏水がある、とのご連絡
をいただきました。調べてみると、どうやらベランダの手すり
を固定した腰壁の上面から雨水が侵入してきた形跡があります。
長期間にわたって雨水がしみ込んでいたため、腰壁の合板は
腐食していました。雨漏りした原因の一つは、腰壁の上面の途中
までしか防水層が施工されていなかったことです。手すりを外すと
合板が見えていました。手すりや笠木の下までは、雨水が侵入
してくると想定するのが一般的です。防水層を壁の外側におり下げて、
防水シートに重ねるべきだったのです。防水層と防水シート
で連続した面をつくり、壁に雨水が侵入するのを防止するのが
適しています。そして、もう一点、漏水箇所がありました。
それは手すりを固定するボルトが腰壁の上面の木材を貫通していた
所です。検査液はボルトを伝ってポタポタと壁の中に漏れて
いました。ボルトの直径は10mm前後です。このくらいのボルト
をねじ込む場合、下穴をあけ、ここに捨てシーリング材を充填
しておくとよいのです。ボルトをねじ込んだ際に、捨てシーリング
際がネジ山まで入り込んで、ボルト周辺の防水性を確保して
くれるのです。今回のケースでは、ネジ穴からにじみ出た捨てシーリング
材が見当たらず施工されていませんでした。以上を説明し
納得していただいた後、修繕にとりかかりました。
このように木造住宅の雨漏り対策は、手摺部一つとっても
小さな配慮の積み重ねが重要です。
ベランダの手すり周りを見ればそのことがよくわかります。
部材同士が直交するため、防水シートの納まりが複雑になり、
雨水が侵入しやすいからなのです。
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