スタッフより
雨水の侵入は、「雨漏り」と「浸水」に大きく2分されます。
雨漏りとは、主に野地板の上に屋根材と防水材を施工した際、雨仕舞の施工の瑕疵によって、
屋根材、防水材で雨水を防止できずに野地板の上に溢れ、野地板の継手から小屋裏の垂木、
桁に接触しながら天井面に落ち、室内にあふれ出した現象です。
港区のF様のケースはまさにそれ。なので、比較的早期に雨漏りの確認が可能であり、
しかるべく処置ができたのです。
一方、住まい手が気づかないほどのわずかな浸水があり、それが長期にわたってしまうと建材と、
構造躯体が劣化してしまい、家の耐久性を著しく低下させる原因となります。住宅を長寿命化
させるにはこの問題の解決が不可避でしょう。
一般的に住宅の寿命は日本で27年なのに対し、米国は64年、英国は84年なのです。
なんだか日本の住宅は勿体ない話ですよね。
日本の木造戸建住宅は、高耐震、高気密、高断熱化が進み、基礎、壁の通気、構造躯体、サッシ設備などは大きく進化
してきたと思います。しかし、屋根は30年程度の住宅使用期間を前提として大きな屋根構法の進化までには至っていないのです。
せいぜい10年の防水瑕疵保証の中で、耐風、耐震、雨漏対策に取り組んだ程度なのです。
しかし、30年程度の住宅寿命では国際的にマズイと思ったのか、日本もようやく重い腰をあげた感じはあります。
2000年に「住宅の品質確保の促進に関する法律」、2006年に「住生活基本法」、
2007年に「住宅瑕疵担保履行法」、2008年に「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」を施行したのです。
少子化も見据えて、量から質へ転換し、100年超の長寿住宅を生み出す決意をしたのです。
しかし、非常に残念ながら、屋根については防水性能の基準は設けられなかったのです。(涙
瑕疵担保履行法から、雨水侵入は瑕疵と判断され、設計者が法的に責任を負うことになっています。