スタッフより
昨日のブログの続きです。
セメント瓦は、セメントと砂利を主成分とする屋根瓦で、陶器瓦より
価格が安いので、高度経済成長期に広く普及しましたが、現在はほとんど
使われなくなりました。築30年から築15年の住宅に採用された
セメント瓦で、雨漏りが多いように感じます。
その原因は軒先の納め方にあります。
当時施工されたセメント瓦は、雨水が瓦の内部に侵入しないことを前提にしていたので、
軒先に水切りを設けないことが多々ありました。その代わりに、
軒先に化粧破風板を設置しているのです。
しかし、実際には雨水が瓦の内部に侵入することが多く、
それが軒先の化粧破風板にせき止められて、壁の内側を伝って室内の雨漏りを
引き起こすケースが少なくありません。
当時のセメント瓦メーカーの説明書には、軒先に水切りを設けていない
施工図を掲載したものが多いです。
おススメしない納まりなのですが、当時は「セメント瓦には雨水は入らない」
との認識がありました。セメント瓦は寸法通りの形状を維持しやすく、
葺いた際の瓦同士の隙間が小さいからです。しかし、この認識は
間違っていました。
当時のセメント瓦の雨仕舞を点検する方法は、樋(とい)と化粧破風板の
間を見て、軒先水切りの裏面が見えれば問題が無いということです。
瓦の裏面が見えれば問題がある、と考えれば良いでしょう。
セメント瓦以外にも築20年から30年の平板瓦でも同様なトラブル
を確認しているので注意が必要です。