スタッフより
港区のK様から天井面が湿ってきて、室内に
ポタポタ雨漏りがするとの連絡をうけました。
雨漏りとは、主に野地板の上に屋根材と防水材を施工した際、
雨仕舞の施工の瑕疵によって、屋根材、防水材で雨水を防止
できずに野地板の上に溢れ、野地板の継手から小屋裏の垂木、
桁に接触しながら天井面に落ち、室内にあふれ出した現象です。
今回はこのケースにあてはまりました。なので、比較的早期に雨漏
りの確認をすることができ、大事にいたらなかったのです。
一方、住まい手が気づかないほどのわずかな浸水があり、それが
長期にわたってしまうと建材と、構造躯体が劣化してしまい、
家の耐久性を著しく低下させる原因となります。住宅を長寿命化
させるにはこの問題の解決しなければなりません。一般的に住宅の
寿命は日本では30年弱、米国は60年超、英国は80年超
と言われています。日本の住宅の寿命が極端に短いのが気になります。
日本の木造戸建住宅は、高耐震、高気密、高断熱化が進み、
基礎、壁の通気、構造躯体、サッシ設備などは大きく進化
してきたと思います。しかし、屋根は30年程度の住宅使用期間
を前提として大きな屋根構法の進化までには至っていないのです。
せいぜい10年の防水瑕疵保証の中で、耐風、耐震、
雨漏対策に取り組んだ程度なのです。しかし、日本もようやく
真剣に取り組もうとしているようです。2000年に「住宅の品質確保の
促進に関する法律」、2006年に「住生活基本法」、2007年に
「住宅瑕疵担保履行法」、2008年に「長期優良住宅の普及の促進
に関する法律」を施行したのです。少子化も見据えて、量から
質へ転換し、100年超の長寿住宅を生み出す決意がうかがえます。
ただ、非常に残念ながら、屋根については防水性能の基準は
設けられていません。まだ現在では瑕疵担保履行法から、雨水侵入は
瑕疵と判断され、設計者が法的に責任を負うことになっています。
SDGSの時代になり屋根の基準の進化にも期待を寄せています。