スタッフより
本日は杉並区でドローン屋根点検を行いました。
オリンピックを観ていると、外国人選手はこの日本の蒸し暑さに慣れずに
閉口しているだろうと思います。
人間と同様、家屋特に屋根は直射日光を受けて夏は非常に負荷がかっています。
しかしこんな過酷な状況でありながら日本の家屋の屋根は
長期耐久性を前提に考えると、国際的には遅れていると認めざる
を得ない状況です。確かに日本の戸建て住宅の省エネ・設備機器は、ヨーロッパと
比べれば優れています。しかし、屋根構法ではヨーロッパが格段の優位性を持って
います。瓦・スレート・金属など、ほぼすべての屋根材で通気構法の採用が
規制化されているのです。しかも、屋根材を緊結する釘からのわずかな浸水
を防ぎ、通気層によって湿気を排出し、野地板の腐朽・劣化を防ぐ高耐久
構法が一般的なのです。すでに住宅の長寿命化を実現しているヨーロッパの優れた
技術を取り入れていくことは今後有効だと思います。
もちろん、気候の異なるヨーロッパの屋根構法をそのまま取り入れるわけにはいきま
せん。取り入れるには、屋根の形・勾配・向きと、雨水侵入による木材の
腐朽、通気・換気・小屋裏環境との関係について十分な検証が必要になります。
ヨーロッパの屋根の材工コストは、日本よりも格段に高いです。日本が住宅の長
寿命化を進めていくなら、これまで重視されていた初期コストよりも
ライフサイクルコストの視点から考えなければならないでしょう。
100年といった長期で、屋根の維持・管理・葺き替えを考慮したLCCでみると、
ヨーロッパの構法の方が安価なことがわかります。日本は、屋根の初期コストを優先
したために構法の改善が遅れたのです。屋根の耐久性向上のためには、
屋根材・防水材・野地板・垂木・棟木・桁など、天井から上の小屋裏空間
全体を「屋根システム」ととらえることが必要と考えています。