スタッフより
杉並区のある設計事務所では、今も昔も雨漏りの問題に頭を抱えているそうです。
この設計事務所に限らず、雨漏りは古今東西を問わず、これからも大きな問題の一つ
ですから、国土技術制作総合研究所(以下、国総研)でも、「小規模建築物の雨水
侵入要因とその防止法に関する研究」と「モルタル外壁の長期性能と評価に
関する研究」と「モルタル外壁の長期性能と評価に関する研究」を実施しています。
さらに2011年度に「木造住宅の耐久性向上に関わる建物外皮の構造・使用とその
評価に関する研究」を実施しました。この研究では、22の指定期間及び応募期間とともに、
戸建ての木造住宅を対象として、雨水侵入・結露・換気・通気などの関する
各種の劣化要因を調査・研究します。
雨漏りは、人類が住宅を建てた時からの問題と思われ、科学技術・防水技術が発達した
現在においてもなくなることはありません。雨漏りを防ぐには、水密性などを保つ
防水機能のほか、雨仕舞があります。これまで、我が国の木造建築は、軒やケラバ
の出を十分に確保して、外壁部分になるべく雨が掛からないように工夫をすることで
防いでいました。しかし、現在の木造住宅の中にはデザインや斜線制限などの要求から、
軒ゼロ住宅など、軒やケラバの出や庇がほどんどないものが多くあり、十分な防水対策を施していない限り、
雨漏りのリスクは高くなります。雨水侵入や防露対策は、関係する仕様書などに
記載されていますが、推奨される構法や材料を採用した場合、費用の負担が大きくなり
損失を伴うと判断する関係者も多いです。しかし、雨漏りが発生した場合、関係者
の信頼せが著しく失墜するだけでなく、補償費用が膨大となってしまいます。
木造住宅の長寿命化を構築するためには、適切な設計・施工、管理、評価
システムに関する情報提供と関係者の理解が肝要です。