スタッフより
昨日のブログの続きになります。薬剤処理済の胴縁と透湿防水シートの
組み合わせがが防水性を低下させるという件についてです。
防腐防蟻処理に使われる薬剤は、木材への浸透性を高める
ため、洗剤などと同様に「界面活性剤」を含んでいます。シートの性能
を低下させた原因は、この界面活性剤の成分です。デュポン社は、2011
年2月末、ある施工現場から報告を受け、水が染み出る現象の再現実験
などを実施していました。その結果、胴縁に接する部分のシートに水が
しみているのが確認されたようです。つまり、撥水性が発揮されていない
状態なのです。この現象がなぜ起こるか簡単に説明をします。
透湿防水シートは液体の持つ「表面張力」を利用したものです。シートには
微細な穴が数多くあいており、空気中に含まれる湿気(水蒸気)はこの穴
を通過できるものの、液体には表面張力があるので、大気中程度の圧力差
では穴を通過できないのです。ところがシートに界面活性剤が入り込むと
シートと液体の接する面(界面)の張力が極端に低くなるのです。防腐
防蟻処理剤に含まれる界面活性剤成分と透湿防水シートの相性の悪さ自体は
前から認識されてはいましたが、こういう理由があるのです。
また、この問題はデュポン社の製品にとどまらず、他社製の透湿防水シート
も原理は同じなので、同様の現象は発生すると考えられます。