スタッフより
世田谷区のJ様から雨漏りの連絡が入りました。J様のお宅は木造3階建てです。
近年は、解体された住宅の跡地を分割した狭小な敷地に、めいっぱい塞ぐように
建てられた新築住宅が立ち並ぶ光景を目にします。雨漏り事故を起こす
住宅はこのような状況下のものが多いです。狭小な敷地に建つ住宅の雨漏りリスク
が高い理由としてあげられるのは、まず建築面積を確保するために軒の出が小さい
ことです。次に庭が十分にとれないために必然的にバルコニーが採用されます。
斜線制限の規制内で容積率を確保し、かつ全体の高さを抑えるため、腰折れ
屋根のような変形屋根や、陸屋根の採用も多くなります。建設が可能な地域では
延べ面積を増やすため、3階建ても多いです。建物の平面形状も敷地の形状に
併せるため、出入りが激しいもの、壁面が平行でないものが多くなります。
これらの住宅形状は、雨漏りリスクが高いといえます。
3階建て住宅の雨漏りリスクが高い要因として、2階建て以下に比べて高さがあり、
風当りが強いこと、外力による建物各部の変位が大きいことが考えられます。
しかし、3階建てが建てられるのは、狭小な敷地条件の場合が多く、高さ以外に、
前述したような狭小敷地に建てられる住宅特有の要因が反映しているようです。
出入りの激しい平面、隅が直角でない異形平面は、複雑な納まり箇所を多数生じさせ、
間接的に雨漏りリスクの増大につながります。個々の建物形状の他にも、
狭小住宅の建物は必然的に隣接建物との間隔が狭くなり、このため、間に入り込んだ
風邪の吹き上げ作用で、軒裏換気口や軒先の野路浦から浸水が発生したとみられる
事例も少なくありません。