スタッフより
杉並区のF様は、築20年のマンションにお住まいです。その建物は
陸屋根でアスファルト防水コンクリート押さえ仕様の建物で、
そもそも雨漏り等のトラブルは無かったのですが、外観上だいぶ
痛みが目立ったので、防水工事を実施したそうです。
屋上の外周にはパラペットと呼ばれる立ち上がりがあり、あごと呼ばれる
突起によって防水の端末に雨がかかるのを防いでいます。立ち上がり部
は押さえブロックで保護されており、仕上げはモルタル塗りでした。
その防水工事はウレタン塗膜防水の通気緩衝工法でした。
その防水改修工事完了から2か月後、最上階の天井付近から雨漏りが
発生したそうです。防水工事をする前は雨漏りなど一度もなかったので、
その防水工事の何かが問題になったのではないかと推測しました。
現場を確認したところ、施工したウレタン塗膜防水にはまったく
不審なところはありません。最上階の天井付近には給水管や排水管は
存在しないので、配管からの漏水の可能性もありません。
電気系統の配管も近くにはないので、陸屋根に何らかの問題が
あることになります。散水調査を実施したところ、意外な原因がわかりました。
防水改修工事では、パラペット部分もモルタル笠木の天端まで、
すべてウレタン塗膜防水にて施工していました。実はその一部に
雨水の出口があったのです。天端をすべてウレタン塗膜で防水したことで、
その出口を塞いでしまっていたのです。その結果逃げ場を失った雨水が立ち上がり
の内部空間に留まってしまい、オーバーフローして防水層の裏側に
流れ込み雨漏りになったのでしょう。この結果にもとづき、外壁側の
雨水侵入位置の防水処理をしました。その後雨漏りはないようです。