スタッフより
杉並区のU様は、今まで雨漏りの経験をしていなかったけれど、屋根の
老朽化が気になり昨年ある業者にカバー工法で屋根を葺き替えて
もらったそうです。そうしたらその後、雨漏りをするようになったといいます。
これは、おそらく施工した職人の知識、技量不足と工法確定のミスです。
しかし、カバー工法の問題点はそういった施工面だけにとどまらないのです。
そもそもの工法として、構造的に雨漏りを誘発してしまう可能性があるのです。
まず、屋根の基本的な仕組みに言及します。
木造建物の屋根は、屋根仕上げ材だけによる完全防水ではありません。
基本的には、屋根仕上げ材で雨を浸入させない仕組みを施し、万一雨水が
仕上げ材の下に浸入した際には、速やかに外部に排出できる仕組みに
なっています。
瓦や板金などの屋根仕上げ材が「一次防水」で、下葺き材のアスファルト
ルーフィング等が「二次防水」という考え方です。二次防水のアスファルト
ルーフィングの上に雨水が流れる可能性がありますが、それは正常なのです。
要は二次防水が機能しているかどうかが雨漏りに深くかかわってくるのです。
カバー工法が構造的に雨漏りを誘発する可能性として、下地の腐朽を
確認することができない工法であるという点があります。
カバー工法の一般的な施工手順は、既存のスレート瓦材などの上に粘着層付の
アスファルトルーフィングを張りつけ、その上に金属系屋根を葺きます。
金属系屋根材は釘やビスで固定しますが、既存屋根仕上げ材の下地である
野地板に対して打ち込みます。もし野地板が腐朽していれば、釘やビスが
が効かないため、留め付け強度が低下します。その結果、新規にかぶせた屋根材
が動き、アスファルトルーフィングシートが切れてしまうなどの事故が
起こる場合があるのです。野地板が腐朽しているかどうかは、瓦材を
はがしてみないと分かりません。既存の屋根は、野地板、アスファルトルーフィング、
スレート瓦が隙間なく密着しているため、10年も経過すれば、程度の差
こそあれ、野地板に何らかの腐朽が発生します。したがってカバー工法は
不確定要素が大きい施工法なのです。明日に続きます。