スタッフより
昨日のブログのつづきになります。
毛細管張力による雨漏りを防ぐ方法の1つは、隙間をつくらないことです。
隙間がなければ張力は発生しないからです。透湿防水シートを防水テープ
に貼る際にローラーで圧着するのも、隙間をつくらないようにするためです。
2つ目は、隙間を十分に広げる方法です。毛細血管張力は、隙間が狭いほど
大きく、隙間が広いほど小さいです。その性質を利用して隙間を十分確保
すれば良いのです。3つ目は、隙間をある程度確保したうえで、
傾斜をつけて雨水の上昇を防ぐ方法です。例えば横張りサイディングは、
目地の接合部に段差や勾配をつけ、雨水が上がりにくい「水返し」
の形状にしています。
毛細血管現象による雨漏りは、住宅の様々な部位で発生しています。
世田谷区のY様のケースは、直張り綱板外壁の重なり部から
雨水が浸入した事例です。
Y様のお宅では、外壁仕上げに鋼板の屋根材(段葺き)を採用していましたが、
屋根材の上下方向の重なり部に小さな隙間がありました。
この隙間から毛細血管張力によって雨漏りが発生しました。
雨水は隙間内を水平に移動し、サッシとの取り合い部で裏側に回り込んで、
下地に侵入しました。しかも鋼板外壁は透湿防水シートに直張り
していたので、雨水はサッシと鋼板の取り合い部付近に滞留して
しまいました。対処法は2点あります。
1つは外壁材を選択し直すことです。鋼板屋根は上下方向の継ぎ目に
隙間があり、毛細管張力による雨水侵入を招きます。よって、鋼板外壁から
一般的な窯業系サイディングを利用すればリスクは軽減できます。
もう1点は、通気層を確保することです。通気層には十分な隙間が
あるので、毛細管張力が働きにくいです。鋼板外壁を採用していても、
背後に通気層を確保すれば、雨水が滞留することはないので、雨漏りを
回避できます。
明日に続きます。