スタッフより
昨日のブログの続きになります。
古い瓦屋根の棟部で台風の飛散被害が多かったのは、棟部に構造上の
弱点が潜んでいるからです。
築30年から40年の古い木造住宅では、瓦屋根の棟部を「大回し工法」で
施工したものが多いです。これは、棟部の冠瓦やのし瓦、ふき土などを銅線で
で巻いて固定する工法です。銅線を大きく回すので「大回し工法」の名が
付いたのです。
風力に対しては、ふき土の重量や粘着力、銅線の拘束力などで対抗できますが、
大地震に遭遇するとふき土が崩れ、冠瓦、のし瓦が脱落しやすくなります。
こうして、ひとたび銅線の拘束力が弱まると、強風を受けた際に棟部が
吹き飛ばされやすくなるのです。
この棟部の欠点を補修するだけで、瓦屋根の安全性は格段に向上します。
瓦の棟部の補修により、屋根材全体の飛散事故の7~8割程度防ぐことができる
のではないかとみています。棟部の補修費用は、瓦屋根から金属屋根に
葺き替えるコストの約7分の1で済むのです。
具体的な手順は以下の通りです。
(1)既存棟部の瓦、ふき土、しっくいを撤去する
(2)棟補強金属を野地板に留めつける
(3)最上部の瓦に穴を開け、野地板に留めつける
(4)棟芯材を補強用金物に取り付ける
(5)最上部の瓦と棟芯材の隙間を南蛮しっくいで塞ぐ
(6)冠瓦をビスで留めつける
明日に続きます。