スタッフより
杉並区のJ様の所有する事務所ビルは、
築20年の鉄筋コンクリート造です。7階建てで一部が6階建てに
なっています。以前から6階の天井に雨漏りがみられ、もう
雨漏り歴は10年以上になるのそうです。何度か改修を試みたのですが、
改善されず、天井が黒ずんできました。そこで、思い切って塗膜防水に
よる改修工事の行ったのですが、状況はかえって悪くなったのだそうです。
防水方法はアスファルト防水コンクリート押さえです。
詳しく調べてみると、7階タイル仕上げの外壁の目地やクラック
からしみ込んだ雨水が、防水層の劣化していた部分に侵入していました。
改修工事では、押さえコンクリートの上から外壁の立ち上がり部分まで
塗膜防水を施していました。壁面タイルの上にも防水材を塗布してあり
ましたが、雨水の侵入は防げなかったようです。このため、今までは
立ち上がり部分から排出されていた雨水が、防水層と躯体の間のモルタル
部分にたまり、漏水がひどくなったと思われます。立ち上がりの仕上げを
はつり落としたところ、モルタル部分から雨水が染み出てきました。
そこで、立ち上がりの防水層、タイル、タイル下地をすべて撤去して、
再度塗膜防水を施し、端末をシーリングで処理しました。すると、階下への
漏水は止まりました。モルタル、タイルしあげには 目地やクラック
などから水が入りやすいので、設計者の方は、仕上げ材の裏に水が走る
ことを想定して設計をすることが大切だと思いました。