被害者救済の新制度が始まりましたが、うまく機能していません。
悪質商法などの被害者に代わり、消費者団体が裁判を起こして被害金を
取り戻す制度が始まって3年半となりますが、制度を利用した裁判は
少なく、使い勝手の悪さも指摘されており、当初描いていたような
消費者被害の救済に広く活用されているとは言えない状態です。
制度は欠陥商品を購入した、法外なキャンセル料を取られたなどの
ケースを対象としていますが、利用はこれまで3件のみ。
2018年12月の東京医科大学による女子・多浪生らに対する受験料返還義務の有無、
2019年4月の情報商材販売会社によるDVDや投資システムなどの代金についての
返還義務の有無、2019年10月の順天堂大学による女子・多浪生らに対する
受験料返還義務の有無の3件です。
課題は制度上の制約です。請求の対象となっているのは受験料や交通費、宿泊代
などの実際に支払った金額に限られ、慰謝料などがカバーされていません。また、
身体的被害も対象外。事業者に十分な資力がない場合は提訴に踏み込めない。
訴訟の相手は原則事業者で役員は対象外となっています。
確かに制度ができたことで自主的な対応を促す効果も出ていますが、悪質な業者に
対して被害回復を確実にできるように、救済対象を拡大するなどの制度整備が必要ですね。









