スタッフより
昨日の続きになります。
住宅会社がやろうとした増し打ちは、サッシの上部の左端、中央、右端の
3か所に新しいシーリング材を上から塗り重ねるだけでした。
普通の増し打ちは、直背に沿って一様に塗り重ねます。この現場で塗り重ねたのは
3か所だけでした。増し打ちとさえ呼べないひどい施工でした。
そもそも劣化したシーリング材を補修するときには、既存のシーリング材を
撤去し、新しいシーリング材を打つのが原則です。増し打ち自体がセオリーから
外れているのです。
補修後も事態は好転せず、雨漏りは続きました。さらに悪いことが重なり、
この住宅会社が倒産。補修の引き受け手がいなくなりました。
このような状況でH様は弊社に相談してきたのです。
既存のシーリング材をつぶさに点検した結果、2つの施工上の問題に気が付きました。
1つは、当初のシーリング材を施工する際に、プライマーの塗布量が不足していた
点です。本来シーリング材を充填する前に、サイディング剤の断面にプライマー
(接着力を高める液剤)を塗布しなくてはなりません。プライマーの塗布量が不足したり、
施工しなかったりすると、付着力不足によってシーリング材は界面乖離を起こします。
この住宅では至るところでその現象が起こっていました。試しにシーリング材を
手で引っ張るといとも簡単にはがれてしまいました。施工者はプライマーの
重要性をよく認識していなかったのでしょう。
明日に続きます。