スタッフより
ここ数年、現地検査に訪れた住宅を見てみると、採用する断熱材の
種類に変化が生じているようです。従来は袋入りのガラスウールを
使う現場が多かったです。しかし、最近は地域のビルダーを中心に
現場発泡タイプの吹付断熱材「建築物断熱用吹付硬質ウレタンフォーム
A種3」を採用する住宅が増えています。
断熱材の施工ミスも増えてきました。吹付用の断熱材「硬質ウレタンフォーム
A種3」の特性に慣れていないせいもあるのか、思わぬ落とし穴にはまる
住宅会社が少なくありません。ポイントは通気層と防湿層の確保にあります。
雨漏りの相談を受けた世田谷区のM様のお宅は、木造2階建ての戸建て住宅です。
一見問題がなさそうに見えたのですが、現場を確認していたところ、
屋根の断熱施工部分に通気層が設けられていないことが分かりました。
一般的には野地板と硬質ウレタンフォームの吹付面との間に通気層を
設けることになっていますが、この現場では野地板に直接、硬質
ウレタンフォームが吹き付けられていました。
屋根断熱で野地板と断熱材の間に通気層を設ける主たる目的は、水分や
水蒸気への配慮、つまり結露防止です。屋根断熱を採用した場合、
棟換気がないケースがほとんどです。そのため、天井面との隙間
などから断熱材に入り込んで野地板に移動した水分や水蒸気が外部に
抜けなくなります。冬季に野地板の温度が低くなっていれば、最悪の
場合結露が起こってしまうのです。
明日へ続きます。