スタッフより
水切りの基本的な考え方は、下端部を鋭く曲げたり、底面に段差や溝を設けたりすることに
より、水流の重力や慣性力(そのまま下に流れようとする力)が回目mm張力を上回るようにして
雨水を外壁から剥離させることです。
実際に水切りを設ける際には、形状や寸法に注意が必要です。水切りの形状には、
板状、溝形、段形の大きく3つの種類があります。
このうち最も多いのが板状の水切りで、この形状は軒先、笠木、窓台、土台などの部位に
広く採用されています。軒先では、軒瓦や金属唐草などが使用され、笠木や窓台では、
アルミニウム押し出し形材が使われます。土台水切りを設ける際は、金属板を用いることが
多いです。一方、溝形や段形の水切りは、鉄筋コンクリート造(RC造)で採用されることが
多いです。特定の部材を接地するのではなく、コンクリート自体の形状を変えて溝や段差
を作り出すのが一般的です。設計者にとって最もなじみ深い水切りは「土台水切り」でしょう。
土台や基礎コンクリートを保護するための水切り部材で、下端部を「レの字」に折り曲げた
金属板を使うケースが多いです。レの字に鋭く曲げることによって、雨水を外壁から剥離
します。取り付ける際は、水切りを土台に押し当て、上から防水テープを貼ります。
防水テープが屋外側、水切りが室内側です。位置関係を間違えないように注意が必要です。
土台水切りの考え方は、他の様々な局面でも応用できます。世田谷区のE様の住宅の場合は、
継ぎ目部分に水切りを挿入しました。この住宅では、1階がRC造で2階と3階が木造でした。
地震などの水平力を受けると、RC造は動きにくいが木造は動きやすいです。外壁を連続させると
無理な力が掛かってひび割れが生じやすくなります。そこで、上下の仕上げ材の縁を切った
うえで、むずきりを挿入することにしました。
もともと土台水切りは、外壁と基礎コンクリートとの間に挿入するものです。その基礎
コンクリートが巨大化し、一層丸ごとコンクリートになったと考えれば理解しやすいでしょう。