スタッフより
昨日の続きになります。
この住宅のバルコニーの納まりは雨水侵入に対してあまりにも無防備だと
いわざるを得ません。防水しを施工していないうえに、仕上げ材や下地材の
防水性能は不十分で、通気性も確保していません。まるで雨水を呼び込む
ような納まりです。
住宅瑕疵保険会社の設計施工基準を見ると、鉄骨造で湿式工法を採用する場合、
防水措置に関する基準がかなりあいまいです。設計者や施工者の裁量に
ゆだねられる部分が多いので、今回の納まりが生まれる可能性があります。
補修工事として、まずは鉄骨に合板を張り直し、その上に透湿防水シートを
張りました。次に胴縁を打って通気層を確保したうえで下地材にサイディング材
(モエンパネル)を使用しました。仕上げ材には男性塗料(ジョリパット)を
施工。
裁判で認められたケイカル板の撤去だけでなく、補修時に見つかった合板の腐食や
通気層の確保などの対応を含めると、工事金額は破賠償金額を大きく上回りました。
年々建築の技術革新もありますが、それ以上に顧客のニーズの多様化で
斬新なデザインの家が増えています。ですから、雨漏り案件は増えこそはすれ、
決して減ることはないのです。