スタッフより
昨日の続きになります。
N様のご自宅を調査をして一番驚いたのが、防水紙を施工していなかったことです。
外壁、バルコニーの手すり壁、プールの塀、どの部位にも防水紙が入っていな
かったのです。外壁やバルコニー手摺の仕様もセオリーから外れていました。
通常、鉄鋼津造の外壁は押し出し整形セメント板やALC(軽量気泡コンクリート)
を使うのが一般的です。しかし、この住宅では壁の仕上げ材に樹脂モルタルを
採用し、下地にケイ酸カルシウム板(ケイカル板)と構造用合板を重ねていました。
下地材の防水性能は低く、非常にリスクの高い納まりでした。
雨水侵入箇所は2階のバルコニー周辺が特に多かったです。
第1の問題個所は、バルコニーの手すり壁に設けた笠木です。笠木には水切りが
なかったので、雨水は端部で回り込み、歌面や壁の仕上げ面を伝いました。
笠木と下地材の間にはエイーリング材を充填していたものの、笠木の歌面にさびが発生し、
シーリング材との間に隙間が生じていました。雨水はそこから侵入したのです。
手摺壁の表面からも雨水が浸入していました。仕上げ材の樹脂モルタルは、
塗り厚不足でひび割れが頻発していました。バルコニーの手すり壁とプール塀の仕上げ材を
剥がすと、腐朽してボロボロになった合板が 姿を現しました。
バルコニーの第2の問題箇所は、手摺壁と外壁がぶつかる入隅部分です。
この場所では、手摺壁の下地材の立ち上がりがバルコニー床面からわずか10mmしか
ありませんでした。外壁の仕上げ材には、この高さ(10mm)に沿って
ひび割れから侵入した雨水が階下に伝わりました。雨漏りが発生した1階
玄関nホールは、この入隅部分のほぼ直下になります。
また、バルコニーの床と外壁が接する部分でも雨水侵入が続出しました。
外壁下地材の立ち上がりが40mmだったこの部位では、その高さ(40mm)
でひび割れが横向きに発生し、雨水侵入の起点になっていました。
明日に続きます。