スタッフより
今回も軒ゼロ住宅に関するトラブル記事です。港区のE様のお宅は、
築10年の軒ゼロ住宅です。外壁はモルタル仕上げで、通気層を確保せず
直張り工法を採用していました。窓枠に使われた樹脂製の輸入サッシが
雨漏りの直接の引き金になりました。
樹脂サッシは、アルミサッシと比べてシーリングとの接着性があまりよくありません。
接着不良があると、そこから室内へ浸水するリスクが増大します。
大体、軒ゼロ、直張り、輸入サッシの3条件が重なる事故例が非常に多いです。
軒ゼロでは、雨掛かりが広がることを考慮し、直張りや輸入サッシなど
リスクの高い工法や材料は極力避けるべきです。
軒ゼロ住宅は、統計的にみてどの程度危険なのでしょうか?
そのリスクを物語る貴重なデータがあります。住宅瑕疵保険会社大手、
日本住宅保証検査機構(JIO)が2016年7月にまとめた最新の実態調査です。
2010年7月から2016年6月の間で保険金の支払いを認めた雨漏り事故案件
を対象に、それぞれの雨水侵入箇所で軒がでているかどうか調査。
軒ゼロの目安として、軒先では柱芯から先端部までが250mm以下、
片流れ屋根棟で150mm以下としています。
調査の結果、雨水侵入箇所の71.8%が軒ゼロに該当することがわかりました。