スタッフより
杉並区のG様のお宅は、5年ほど前に建売分譲された木造3階建てで、近隣に住宅が
密集する狭小地に建っています。G様が雨漏りに気づいたのは、入居から間もない
頃です。
大雨の後、2階のリビング・ダイニングにある西側開口部のサッシ上枠から、
水滴がぽたぽたと落ちているのを見つけました。住宅会社に連絡すると、
雨漏りが発生した開口部の屋外側でサッシ上枠と外壁の取り合い部などにシーリング
を施工し補修したらしいです。しかし、その後も室内の同じ個所から水が垂れてくる
現象は収まりませんでした。
弊社は再検査の依頼を受けたので調べてみると、まず目視観察の段階で、室内に水が
垂れ落ちてきた2階サッシのある外壁は、漏水リスクが高いことを見てとれました。
その理由は4つあります。まずは、「隣家との間隔が数十センチしかなく、庇は全く
とりつけられていない」という点です。外壁を流れ落ちる雨水は、必ずサッシ上枠に
ぶつかります。
次に「外壁モルタル仕上げの各所にひび割れが生じている」という点です。外壁仕上げ面
から侵入した雨水が、壁内の防水層に達していることは明らかでした。
第3の理由は、「外壁と屋根の破風板との間に隙間が空いている」という点です。
ここも雨水侵入の可能性が高いとみられました。
第4の理由は「雨漏りした2階サッシの真上に位置する3階サッシで、外壁との取り合い部での
シール切れや周辺のモルタル仕上げに入った亀裂を確認できる」という点でした。
そこで雨水侵入の可能性が高いとみられた6か所に散水試験を実施しました。
各箇所に時間をずらしながら散水すると、意外な結果がでたのです。
うすいは複数個所から侵入していることが確認できたのです。3階のサッシ上枠付近(屋外側)
、およびその上部外壁、さらに外壁と破風板との取り合いの3箇所です。いずれの箇所も、
散水後しばらく時間を経た後、問題の2階サッシの室内側上枠から水が垂れてきました。
この結果から、次のような大掛かりな補修方法を提案しました。
(1)2・3階の開口部周囲の外壁をそれぞれサッシの両縦枠と上枠に沿った
一定幅を一度撤去し、防水層から再施工する。
(2)外壁全体でひび割れを全面補修する。
(3)屋根の破風板付近の防水処理をする。
という3つの補修方法です。
2階のサッシの外壁側が住宅会社による補修時にシール施工されていたために、
散水試験は実施していませんが、「シーリングは応急処置的な補修に過ぎない」
という観点で、(1)の本格補修の提案対象にしました。
明日に続きます。