スタッフより
港区のY様は、2009年末完成の木造2階建てにお住まいです。Y様が雨漏りに気づいた
のは、半年後のことでした。強い雨の後、1階のトイレの外壁側の床にうっすらと
水がたまっていたのです。補修をしたのですが、改善しないので再検査に至りました。
再検査をしたところ、トイレに近い建物内外の目視や図面などを基に、雨水侵入の
可能性がある箇所を洗い出しました。
この建物は2階部分の室内がロフトのようなつくりになっているため、2階の外壁は
そのまま急こう配の屋根の仕様です。屋根と壁は同じ板金仕上げです。
取り合い部に軒はなく、縦はぜ葺きの屋根がそのまま「く」の字に折れて、
1階の外壁に連続しています。
雨水侵入の恐れがある箇所は、6つに絞り込めました。トイレのわきにある小窓の
庇まわり、その情報の1解外壁と2階屋根の取り合い、2階屋根の棟などです。
最も怪しいと思われる小窓は、水染みが発生したトイレの横の洗面室に付けたもの
でした。トイレ内の水染みから、水平方向に1mほど離れています。
しかし、小窓の窓台には、水の侵入を思わせるクロスの剥がれが見られました。
さらに、小窓の上部には、雨漏りのトラブルが起こる原因となりがちの庇があります。
目視による調査で、外壁との取り合い部に小さなシール切れも見つかりました。
小窓の周囲、あるいはその情報から雨水が浸入した可能性が高いです。
疑わしい6か所について1つずつ順に散水試験を実施したところ、庇の側面に散水して
まもなく、トイレの床に水がこぼれだしてきました。
他の5か所では、漏水はありませんでした。これらの件かを踏まえてシールの切れた
庇の側面を、雨水の侵入口と特定できました。切れたシールの補修を行いました。
さらに、散水試験で漏水が発生しなかった箇所についても、Y様に補修を提案しました。
小窓の上にある庇と、外壁との取り合い部の随所で、シールが劣化したり、小さな穴が開いたりした
箇所があったからです。
今回のケースでは、初めに依頼した住宅会社の調査や補修が適切ではなかったと考えられます。
発覚した雨漏りに対応するノウハウが、まだ浸透していないことを象徴している例と言えます。
明日に続きます。