スタッフより
昨日のブログの続きになります。笠木の取り付け時以外にも落とし穴がありました。
今回の雨漏り現場では、麻木に後から打ち込まれたビスが雨漏りの原因の一つとなっていました。
ビスは、パラペットの天端部分にクリスマスのイベントに合わせてイルミネーションを
取り付けるために打ち込んだものだといいます。電気工事会社が施工したようで、
ビス穴を埋めるためにシーリング材を施工した跡がありましたが、その効果はなく、
隙間から雨水が浸入していました。
一般の家庭でもイルミネーションを取り付けることが少なくないだけに、
このような想定外のことも考慮が必要ですね。
笠木の釘穴やつなぎ目などから侵入した雨水は、下地の木部の天端を覆っていた
防水シートの上に滞留していました。この現場では、天端を覆う防水シートは1枚だけでした。
このため、防水シートが激しく劣化してぼろぼろになり亀裂が生じると、雨水の侵入を
防ぐことができないのです。
防水シートの亀裂から雨水はさらに侵入して、下地の木部に到達しました。
逃げ場がなくなった雨水は、木部にしみ込み木を腐らせたほか、階下に流れ伝わり
雨漏りとなったのです。木部は指で押さえると沈み込むほど腐っていました。
笠木の雨仕舞は屋根と同様に、雨水が浸入する危険性の高さに配慮した施工が必要になります。
例えば、脳天打ちで笠木を留めつけないことです。シール性のある建材を使って、くぎやビスの
穴があけた隙間をふさぐようにします。防水シートは念入りに重ねます。
侵入した雨水の逃げ道を用意するなど、ポイントがあるのです。
メーカーや住宅瑕疵担保責任保険法人などで仕様は異なりますが、基本的な考え方は
同じです。住宅金融支援機構の木造住宅工事仕様書では、笠木の雨仕舞を
図解入りで説明しています。