スタッフより
渋谷区のE様から雨漏りがするとの連絡を受けました。
E様のお宅は陸屋根です。E様のお宅に限らず、陸屋根は雨漏り件数が
比較的多い印象を持っています。
陸屋根は構造上、通気口の設置が難しく、内部の除湿は課題です。
野地板など木材の初期含水が高い場合は、腐朽を回避する対策が必要です。
足利大学工学部創生工学科建築・土木分野の齋藤宏昭教授が脱気による
除湿効果を実験で確かめたそうです。陸屋根を模した実験棟を配置して、
通気口の代わりに脱気口を設けた場合の除湿効果を確認しました。
(図参照)
その結果脱気口の有無や大小に応じて、水分の排出量に違いが見られたので、
脱気口の設置が野地板の初期含水の排出に一定の効果があるということが
分かったそうです。
また、田島ルーフィングは陸屋根用のの脱気システム「オリジナル脱気防水
工法」を実用化しています。
CLTパネルなどの木造下地の上部に、排湿溝を刻んだ断熱材などを
挟み込み、その溝から下地の残留水分を回収。圧力差で屋上に設けた
脱気筒へ誘導して外部へ排出するシステムです。
施工中などに木造下地(CLTパネル)にしみ込んだ水分は、断熱材の下面に刻んだ
溝を介して脱気筒につながる孔へと移動。圧力差で脱気筒から排出されます。
断熱材の継ぎ目などから上層の合板にしみ込んだ水分も、
その上層のアスファルトシートの下面に刻まれた溝から取り込まれ、脱気筒を介して
外部に排出されるのです。
田島ルーフィングは、中小規模の木造住宅を意識しています。施工時に
資材が雨水や夜露にさらされ、そのまま防水処理されると木造下地は水分が
パックされた状態になります。最悪の場合は、腐朽につながるので、水分の
排出を促すことを一番に考えているとのことです。