スタッフより
世田谷区のS様のお宅は、木造2F建て住宅。ガルバリウ
ム鋼板葺きの屋根は、陸棟が比較的短く、方形に近い寄棟造りです。
屋根に異変を感じたのは竣工から年ほどたった春のことでした。
2F居室の天井に雨漏り跡のようなシミが現れたのです。
調査したところ、原因は屋根断熱の失敗による結露水でした。
小屋裏に入ってみると袋入りのグラスウールを垂木などに直接、タッカーで
留めるなどした屋根断熱を確認できました。さらに断熱材を
剥がして野地板を見たところ、板が濡れたように濃く変色したり、
カビが生えていました。特に北面の野地板の変色が激しく、
含水率は最大で約40%でした。通常の雨漏りなら野地板の変色は
水の進入口を起点に扇状に広がるのですが、今回のケースは全体
が均一に変色していました。カビはこのような空気の動きが少なく、
常時湿った環境に発生しやすいのです。また屋根断熱の通気も不十分で、
結露しやすい条件がそろっていました。陸棟換気や屋根通気層、
壁の通気層などは設けてありましたが、隅棟に通気や排気の気配がなく、
空気の流れが妨げられ、その結果、通気層が単なる「空気層」
と化していたのでしょう。
屋根断熱を失敗して結露が確認されたS様の寄棟屋根戸建て住宅。
断熱材のグラスウールを剥がした野地板の様子です。
所々色が濃く変色し、白カビが発生していました。
明日に続きます。