スタッフより
渋谷区のH様のマンションは、新年数が浅いのですが、雨漏りがするというので、伺いました。
ただ雨漏り箇所が、高層階(8F)の外壁で、近づいて調べることが困難でした。
今までなら、目視できない場合は勘を頼りに修理部位を修理をしていましたが、
今はドローンがあります。早速ドローンで検査してみました。
調べてみると、柱や梁と壁を分離するために用いる構造スリットが雨漏りの原因と
なっているようでした。
最上階の柱と壁の間に設置した構造スリットの真上にあるパラペットの壁に
ひび割れがありました。仕上げのタイルにもひび割れが発生し、雨水の侵入
経路となっていました。構造スリット部では柱と壁の縁が切れており、変形
は生じやすいのです。スリット周辺の壁にひび割れが生じる原因となること
が多いのです。室内への雨漏りは、最上階でなく1つ下の階の床面で生じていました。
パラペットの天端や外装タイルのひび割れから侵入した水がタイルの裏面を通って
1つ下の階の床レベルまで伝ってきたのでしょう。室内に水が侵入する直接の
原因となったのは、水平方向の構造スリットの位置と躯体目地の位置とが
ずれていたことです。スリット端部にはタイル下地のモルタルが詰まって
いるだけで止水性能はほとんど期待できません。スリットは壁を貫通しており、
居室の床と同じレベルにあるので、水はスリットを伝って居室内まで侵入
したのです。水平方向のスリットのシーリング工事には、他にも施工不良
がありました。1つは構造スリットの表面を覆うシーリング材が薄すぎて破断した
場合です。タイルの裏面まで水が入ると、スリット部分から容易に室内へ
雨漏りします。もう一つは、仕上げタイル目地と躯体目地の位置がずれて
いる場合です。この場合タイルにひび割れが生じやすくなります。