スタッフより
港区のJ様所有の雑居ビルの事例です。築年数は約19年で、9階建て
の一部が8階建てになっている構造です。8階の部屋の天井に雨漏りが
見られ、10年以上にわたって漏水していました。何度か改修したのに
も関わず、天井も黒ずんでいます。どうやら塗膜防水による改修
工事を行ったところ、状況が悪化したようです。防水方法はアスファルト
防水コンクリート押さえです。8階タイル仕上げの外壁の目地や
クラックかたしみ込んだ雨水が、農水相の劣化していた部分に侵入してい
ました。改修工事では、押さえコンクリートの上から外壁立ち上がり
部分まで塗膜防水を施してありました。壁面タイルの上にも防水材
を塗布してありましたが、雨水侵入は治まっていませんでした。
このため、今では立ち上がり部分から排出されていた雨水が、防水層と
躯体の間のモルタル部分にたまり、漏水がひどくなったとみられています。
立ち上がりの仕上げをはつり落としたところ、モルタル部分から
雨水がしみ出てきました。そこで、立ち上がりの防水層、タイル、
タイル下地をすべて撤去して、再度塗膜防水を施し端末をシーリングで
処理しました。それ以降、ぴったりと階下への漏水は治まりました。
モルタル、タイル仕上げには目地やクラックなどから水が侵入しやすい
ので、仕上げ材の裏に水が通ることを想定して設計することが肝心ですね。